カタカナ英語が抜けない正体|日本人英語3つの癖と通じる直し方
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はじめに:カタカナ英語が抜けない本当の理由
このモヤモヤ、心当たりありませんか。
単語は合っている。文法も間違っていない。母音や R/L も、それなりに気をつけている。なのに、初対面のネイティブには一発で伝わらない。しかも、相手の英語も「速すぎて」聞き取れない。
実はこれ、個々の音(R とか TH とか)の問題だと思われがちなんですが、犯人はもっと手前にいるんですよね。それは、日本語の「音のシステム」そのものです。
書いているのは、TOEIC 960 の日本人です。それでも、いまだに聞き取れない瞬間があります。だからこそ「ネイティブになる方法」ではなく、日本語話者がどこでつまずくのかという側から書けます。
日本語のシステムのまま英語をしゃべると、知らないうちに出てしまう「癖」が3つあります。
- stop に「ウ」を足してしまう — 「ストップ」と言うと、英語話者には
s-u-t-o-p-p-uみたいに聞こえている。自分では足している自覚がない - 英語も「拍(はく)」で数えてしまう — stop は英語だと1かたまりの音。でも「ス・ト・ッ・プ」と4つに割って言ってしまう
- カタカナ表記のまま覚えてしまう — 「ストップ」と文字で覚えるから、余計な「ウ」も4拍も、そのまま固定されてしまう
この3つ、バラバラの問題に見えて、根っこは全部つながっています。だから、ひとつずつ暗記するのではなく、仕組みを1個知るだけで、まとめて意識できるようになるんです。
そこで先に、この記事で持ち帰れるものをはっきりさせておきます。
この記事を読むとわかること
- なぜカタカナ英語が抜けないのか——3つの癖と、その根っこにある1つの仕組み
- 練習で意識するポイント3つ——語末を止める/音節の数を合わせる/カタカナで固めない
- どこで力を抜いていいのか——会話中に気にしなくていい範囲
ネイティブそっくりを目指す回では、ありません。通じる英語に必要なぶんだけに絞ります。
3つの癖を、24時間ずっと気にする必要はまったくありません。むしろ会話の最中は、力を抜いていい。練習のときだけ意識するポイントを絞れれば、それで十分通じるようになります。いつも通り「完璧より、通じる」——ゆるくいきましょう。

そもそも「カタカナ英語」では何が起きているのか
本題の3つの癖に入る前に、大前提をひとつ。
第1回でお伝えしたとおり、日本人は英語を聞くと、脳が自動でカタカナに変換します。これ自体は悪いことではなくて、むしろ自然なことなんですよね。問題は、カタカナに変換した瞬間に、日本語の「音のルール」が英語にかぶさってしまうこと。
日本語の音には、大きく2つのルールがあります。
- 音は基本、母音で終わる(「ん」と「っ」以外)。か= k+a、す= s+u。子音だけで終わる音がない
- かな1文字=ほぼ1拍で、リズムを刻む。「ス・ト・ッ・プ」は4拍で数える
この2つのルールは、日本語をしゃべるぶんには完璧です。でも英語にそのまま持ち込むと、そこから3つの癖が生まれます。①母音を足す/②拍で数える/③その形のまま表記で固める。順番に見ていきましょう。
日本人英語3つの癖と直し方|母音・拍・カタカナ表記
ここから、3つの癖を1つずつ見ていきます。①余計な母音を足す/②拍で数える/③カタカナ表記で固める。それぞれ「なぜ起きるのか」と「どう直すか」をセットで扱います。
癖①:英語に「余計な母音」を足してしまう(母音挿入)

1つ目の癖は、子音の後ろに、いらない母音を足してしまうこと。専門的には「母音挿入」と呼びます。難しくいうと大げさですが、要は「ストップ」のウのことです。
なぜ足してしまうのか。理由はシンプルで、さっきの日本語ルール①——日本語は母音で終わる言語だから。日本語には「子音だけで終わる音」がありません。だから英語の stop(最後は p という子音だけ)に出会うと、脳が勝手に「p のあとに、う」を補って puっぽい音 にしてしまうんですね。
- stop → 「ストップ」=
s-u-t-o-p-p-u(英語では母音1つのかたまりなのに、母音が3つに増える) - cats → 「キャッツ」=
kyat-tsu(最後の ts のあとに「う」が付く) - is → 「イズ」=
i-zu(s のあとに「う」が付く)
そうなんです。自分では足している自覚がないのが、この癖のやっかいなところ。日本語話者の耳には、足した「ウ」が聞こえないんです。でも英語話者には、しっかり「余計な音」として届いています。
癖①の直し方:語末の子音を「言い切って止める」
じゃあ、どう直すか。やることは1つだけ。語末の子音を、母音を足さずに『言い切って止める』。これだけです。
stop なら、「ストップ」と最後に「ウ」を響かせるのをやめて、「ストッ(プ)」で口を止めるイメージ。唇を閉じた(または舌を止めた)ところで、そのままフッと終わる。これだけで、英語話者の耳にはグッと stop らしく届きます。

これ、実は第5回の Stop T(語末の t を破裂させずに止める)と、まったく同じ発想なんですよね。cat を「キャットゥ」ではなく「キャッ」で止める、あの感覚。あれを t 以外の子音にも広げるだけです。
もうひとつ、日本人に身近な例を。milk。
- milk → 「ミ・ル・ク」=
mi-ru-ku(l のあとに「ウ」、k のあとにも「ウ」を足している)
「ミルク」は、l と k という2つの子音に、それぞれ母音「ウ」を足してしまった形。英語の milk は、ほぼ「ミゥク」くらいのひとかたまりです。ここでの直し方は同じで、k のあとに「ウ」を足さず、k で止める。
直すのは、あくまで練習のときでOK。会話中に全部の語末を気にする必要はありません。まずは stop / milk のような「よく使う短い語」で、「語末は止める」を1回試すところから。
癖②:日本語は「拍」、英語は「音節」で数える

2つ目の癖は、英語の単語を、日本語の「拍(モーラ)」で数えてしまうこと。これが、実は「英語が速すぎて聞き取れない」の正体でもあるんです。
まず、言葉を2つだけ整理します。難しくないので安心してください。
| 拍(モーラ)=日本語 | 音節(シラブル)=英語 | |
|---|---|---|
| 数え方 | かな1文字が、だいたい1拍 | 母音1つで、ひとかたまり |
stop は | ス・ト・ッ・プ で 4拍(小さい「ッ」も1拍) | 母音は o だけで 1音節 |
同じ stop という単語が、日本語の数え方だと4拍、英語の数え方だと1音節。この差、けっこう衝撃的じゃないですか。
もっと極端な例がこれ。
- strength(強さ) … 英語では、なんと1音節。母音が「e」1つだけだからです。でもカタカナ「ストレングス」で数えると
su-to-re-n-gu-suで6拍!

英語話者は strength を「ひと息の、ひとかたまり」で言っています。でも日本人は6拍ぶんの長さを予想して待ち構えている。だから、実際に1音節でスッと来ると「速すぎて聞き取れない」と感じるんですね。
そうなんです。本当は速いんじゃなくて、こちらが多く数えすぎているだけ。
癖②の直し方:音節の数を合わせにいく
直し方は、音の数を「英語の音節数」に寄せること。全部の音をきれいに出すことより、まず数を合わせるほうが、通じ度が跳ね上がります。
コツは、単語の中の母音を数える。母音の数=だいたい音節の数です。
stop→ 母音は o の1つ → 1音節で言い切る(「ストップ」と4つに割らない)desk→ 母音は e の1つ → 1音節(「デ・ス・ク」ではなく「デスク」をひとかたまりで)strength→ 母音は e の1つ → 1音節(子音がたくさん連なっても、母音は1つ)
やってみると分かりますが、「1音節で言い切る」を意識すると、自然と癖①(余計な母音)も一緒に消えます。だって、母音を足したら音節が増えてしまうので。①と②は、コインの裏表なんですよね。
練習のときは、手を1回だけ叩きながら単語を言うのがおすすめ。手拍子1回のあいだに stop を収める、strength を収める。「1回で言い切る」という体の感覚が入ると、リズムがぐっと英語寄りになります。
癖③:カタカナ表記の罠 — water は「ウォーター」より「ワラー」

3つ目の癖は、①②をカタカナ表記で固めてしまうこと。ここまでの「母音を足す」「拍で数える」を、文字にして覚えてしまうと、なかなか抜けなくなります。その代表例が、おなじみ water。
第5回で、water が「ワラ」に聞こえる正体として Flap T(母音にはさまれた t がラ行っぽく濁る)を扱いました。あれは「ラ」の部分、つまり t 側の説明でした。今回は、その残り半分——先頭の「ワ/ウォ」の部分、つまり w と拍の側を回収します。
water は /w/ で始まります。この w は、唇をすぼめてパッと開く、一瞬の渡り音。後ろの母音とひとつになって、ほぼ同時に流れます。
ところがカタカナ「ウォーター」だと、こうなります。
- 「ウ」を、独立した1拍として発音してしまう(癖②)
- しかも「ウ」を少し伸ばしてしまいがち(「ウ・ォー…」)
すると、英語では一瞬で過ぎるはずの w が、「ウ」という独立した拍になって、もたついてしまうんですね。一方、「ワラー」の「ワ」は、子音+母音がくっついた単一の拍。w の「一瞬で流れる」感じに、こちらのほうがずっと近い。だから「ウォーター」より「ワラー」なんです。
癖③の直し方:w を「ウ」と伸ばさない
直し方は、w を独立した「ウ」にしないこと。「ウ」から入るのをやめて、後ろの母音とくっつけたまま「ワ」と一気に出す。これだけで、もたつきが消えます。
同じことが、w で始まる短い言葉でよく起きます。
- what → 「ウォット」より「ワッ」寄り
- want → 「ウォント」より「ワン(トゥ)」寄り
- one → 「ワン」(これはカタカナでも「ワン」なので、むしろ通じやすい好例)
聞き取りのコツも同じで、w で始まる語は「ウ…」と身構えない。「ワ」で一瞬に来る、と待っておくだけで、聞こえ方が変わります。
3つの癖は根っこが1本|だから同時に直せる
ここまで、①母音挿入/②拍で数える/③カタカナ表記、と3つ見てきました。もう気づいた方もいるかもしれません。この3つ、全部おおもとは同じなんですよね。
- ①母音を足すのは、日本語が「母音で終わる言語」だから
- ②拍で数えるのは、日本語が「かな1文字=1拍」でリズムを刻む言語だから
- ③カタカナ表記で固まるのは、①と②を文字にして覚えてしまうから
つまり、根っこは「日本語のモーラ(拍)の耳・口のまま、英語をやろうとしている」という1点。だから逆に言えば、この1点を意識するだけで、3つまとめて効いてくるんです。
「母音を足さない」を意識すれば、音節数も自然に合う(②)。音節数が合えば、water を「ウォーター」と伸ばさなくなる(③)。バラバラに暗記しなくていい——これが、今回いちばん持って帰ってほしい考え方です。

カタカナ英語の直し方|練習で意識して、会話では力を抜く
いいえ。むしろ逆です。意識する場と、力を抜く場を分ける。ここが実践のいちばん大事なポイントです。
| 練習・音読タイム | 会話タイム | |
|---|---|---|
| 意識すること | 語末の「ウ」/音節の数/カタカナ表記 | 通じること、言い切ること |
| 力の入れ方 | しっかり意識する | 力を抜く |
| 相手 | ひとり音読・AI | 人間の相手 |

音読・練習のときだけ、3つをチェックする
ひとりで音読するときや、単語を覚えるときだけ、次の3つを軽く確認します。
- 語末に「ウ」を足していないか(stop を「ストップ」にしていないか)
- 音節の数は合っているか(母音の数だけ手を叩けているか)
- カタカナのまま覚えていないか(water を「ウォーター」で固定していないか)
3つ全部を一度にやろうとしなくて大丈夫。今日は①だけ、明日は②だけ、でも十分です。
この「練習タイム」の相手には、AI がわりと向いています。stop を「ストップ」と言ってしまっても、AI は変な顔をしません。気まずさゼロで、同じ単語を言い直せるのが大きいんですよね。
会話のときは、通じることだけ考えて力を抜く
そして本番の会話では——3つのことは、いったん忘れてOKです。しゃべりながら「あ、今『ウ』を足した」なんて自己チェックしていたら、会話が止まってしまいますよね。
会話中に大事なのは、通じること、伝えたいことを言い切ること。多少カタカナが残っても、文脈があれば十分通じます。第1回「カタカナ発音の罠」からずっとお伝えしているとおり、日本人の英語にクセが残るのは、悪いことでも何でもありません。
練習で入れた「3つの意識」は、続けているうちに、会話でも無意識に少しずつ出るようになります。意識して入れたものが、やがて自動になる。その順番でいいんです。
ちなみに、この「力を抜いて話す会話タイム」の場づくりには、5分だけの英会話がちょうどいいんです。
まとめ:カタカナ英語を抜く3つのポイント
カタカナ英語がなかなか抜けない正体は、個々の音(R や TH)ではなく、日本語の「音のシステム」そのものでした。そこから生まれる癖が、この3つ。
① 余計な母音を足す — 子音の後ろに「ウ」を付ける(stop → ストップ、milk → ミ・ル・ク)。直し方=語末の子音を「言い切って止める」
② 拍で数える — 日本語は「ス・ト・ッ・プ」=4拍、英語は stop=1音節。直し方=母音の数を数えて「音節数を合わせる」
③ カタカナ表記で固める — water を「ウォーター」で覚える(「ウ」が独立して伸びる)。「ワラー」= w を一瞬で+ Flap T(第5回)の合わせ技
そして何より大事なのは、この3つは根っこが1本だということ。「日本語の拍のまま英語をやろうとしている」——そこを意識するだけで、バラバラに暗記しなくても、3つまとめて効いてきます。
いつも通り、これは完璧を目指す話ではありません。3つの癖を、会話中ずっと気にする必要はまったくない。練習のときだけ意識して、本番では力を抜く。 その使い分けができれば、初対面でも通じやすい英語に、少しずつ近づいていきます。完璧より、通じる。それが、このシリーズで一貫してお伝えしていることです。
次回は「文法の崩し」の話です。You ok? に Are がない、Gotta go. に主語がない——カジュアル英語で文頭が消える仕組みを、第9回:英語の主語・be動詞はなぜ消える?|カジュアル英語の省略3パターンで整理しました。

関連動画
- 【まとめ動画】カタカナ英語が抜けない正体|日本人英語の3つの癖と直し方
- 【Shorts】第8回 #29 stop に「ウ」を足してませんか?(母音挿入)(8月3日公開予定)
- 【Shorts】第8回 #30 stop は何拍? 日本語4拍・英語1音節(拍とモーラ)(8月5日公開予定)
- 【Shorts】第8回 #31 「ウォーター」より「ワラー」が近い理由(w と拍の側)(8月7日公開予定)
- 【Shorts】第8回 #32 カタカナ英語が抜けない正体は3つ(総論)(8月9日公開予定)
過去回もあわせてどうぞ:
- 【記事・第1回】日本人の英語が通じない4つの理由|カタカナ発音の罠(今回の総論・親。音節ショート#4もこちら)
- 【記事・第2回】日本人がつまづく英語の音|母音3セット+子音R/L/THの攻略(単音の区別はこちら)
- 【記事・第5回】英語の t は実は7通り|フラップTで water がワラに聞こえる正体(water の「ラ」=Flap T 側。今回は「ワ」=w と拍の側)
- 【記事・第6回】英語の L は2種類ある|feel がフィーゥに聞こえる正体(milk の「ル」=Dark L 側)
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